私には郊外に二人で暮らす高齢の両親がいる。この夏父が、脳梗塞で倒れた。幸い軽症で済み、ひと月ほど入院すれば良いとの診断を受け胸をなでおろした。
 とりあえず、父のことは安心したものの、家に独り残る母の事が心配になった。母は糖尿病と高血圧症でもう何年も薬を服用しているが、最近老化が進み薬の服用を忘れてしまうと父から聞いていたからだ。心配なので自宅に母を連れ帰り父が退院するまで一緒に暮らすことにした。
 ところが翌日、母が「家に帰りたい」と急に怒り出したのだ。老人にとって住み慣れた家を離れることは不安らしい?しかし仕事を持つ私としては、実家のある郊外から通勤するのは不可能である。何とか思いとどまらせて家にいてもらったが、会社から帰宅すると母がいない!あわてて実家に向かってみたが、家にもいない!深夜になり心配が募り、意を決して110番に電話した。早速、事情を聞いた警官が方々探してくれ、実家の近くをウロウロしている母を見つけて頂き、事なき終えた。「どこに行っていたの?」と私が尋ねると「家が分からなくなった」と母は言った。
 住み慣れた家が分からないなんて!何時もは穏やかな母が今朝、急に怒り出したのもどこか不自然だったが様子が変だ。躊躇ったがメンタルクリニックで診察を受けた。するとアルツハイマー型の認知症と診断された。医師の話では認知症により急に怒りっぽくなったり、少し前の事を忘れてれてしまったり、家や時間、曜日が分からなくなるそうだ。話を聞いて今までの母の行動が頷けた。
 しかしここで問題が生じたのだ。今までは日中、父が母の事を見てくれていたが、父のいない今、誰が母をみてくれるのだろう?頭を抱えていると、職場で同じように両親の介護をしている同僚から「高齢者の見守りサービス」をお願いできる企業があると教えてもらった。早速調べてみたところ大変気の利いたサービスが充実している企業が、幾つかあることが分かった。
 「高齢者の見守りサービス」をお願いした結果、日中、母のことで心配することが減り、私の負担も大分減った。独りでいる時間も無くなり、高齢者の認知症の母も見守りサービスを喜んでいる。